【補足】データ駆動型トレーニングの例

前回の記事にて、データ稼働型トレーニングをキーワードに挙げさせていただきましたが、もう少しだけ補足してほしいという問い合わせをいただきましたので、少し記載いたします。

  1. 打撃分析システムの活用
    打撃分析システムは、高速度カメラやセンサーテクノロジーを使用して、選手のバッティングフォームやバットの軌道、ボールの速度や角度などのデータを収集します。このシステムは、選手のバッティングの強みや改善点を特定し、個々の選手に最適なトレーニングプランを提供するのに役立ちます。たとえば、特定のバッティングスタイルに合わせて打撃の角度やタイミングを調整するための練習を行うことができます。
  2. ピッチングデータの収集と分析
    ピッチングデータの収集には、ピッチングレーダーやトラッキングシステムが使用されます。これらのシステムは、投球速度、回転数、ボールの軌道などをリアルタイムで記録します。これにより、選手のピッチングフォームや投球の精度を評価し、個々の選手に最適なピッチングメカニクスを提供することができます。また、特定のピッチングスタイルや状況に対する適切な対応をトレーニングするためのシミュレーションも可能です。
  3. 身体能力測定とトレーニング
    選手の身体能力測定には、スプリントテスト、ジャンプテスト、メディシンボール投げテストなどが使用されます。これらのテストは、選手の爆発力、パワー、反応速度などを客観的に評価するのに役立ちます。データを分析して、個々の選手に適したトレーニングプログラムを作成し、身体能力の向上を促進します。たとえば、身体能力の向上を目指す選手には、パワーリフティングやスプリントトレーニングを組み込むことができます。
  4. 戦術と戦略の分析
    試合のビデオ分析やプレーのデータ収集を行います。これにより、チームの強みや改善点を特定し、戦術や戦略を洗練させることができます。特に、試合中の特定の局面やシチュエーションでのプレーを分析し、選手たちがより効果的なプレーを行うためのトレーニングを提供します。
  5. 心理的なデータの活用
    選手の心理状態やモチベーションを評価するためのデータも重要です。心理的な要因は、パフォーマンスに大きな影響を与える可能性があります。心理的なデータを収集し、選手たちがストレスや不安を克服し、最適な状態でプレーできるように支援します。たとえば、メンタルコーチングやストレス管理プログラムを提供することができます。
医療分野での課題とデータ活用

現代においては、平均寿命がますます延びている一方で、健康寿命との乖離が鮮明になってきている。
・この50年間で、65歳時点の平均余命が大幅に延伸(OECD加盟国平均:14.2年→19.9年)
・ただし、65歳時点の平均余命に対し、健康寿命は半分以下(OECD加盟国平均:女性9.8年、男性9.7年)

これらのギャップの解消、課題解決に向けては、ヘルスケアデータをより詳細に分析し、最適な健康活動を送れるような新たな取り組みに繋げていく必要があると考える。

そのためにはやはり、
医療機関ごとに分断されている患者情報(医療データ、健康データ、活動ログ等)を関係者間で共有し、患者一人ひとりに寄り添った最適な医療の提供の実現が必須と考える。

また、新薬開発には10年の開発期間と1000億円以上の開発費を要し、そのうえ成功率は2~3万分の1と言われており、このため製薬会社等の前向きな取り組みが難しくなり、新薬開発が遅れている現状がある。これらの課題に対しては、
・研究プロセスの自動化
・AIなどを活用し、研究アイデアの創出や研究のスピードアップ
・研究データ、試験データの共通管理、情報交換
・在庫管理
・シミュレーションモデルの構築(データサイエンティストの育成、活用)
などに向けた一層の取り組みが必要となる。

超高齢社会が到来し、健康や寿命に関する様々な要望やリスクが起きる中で、この医療分野においても様々なデータとテクノロジーを最大限に活用する取り組みが必要となっている。